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中小企業経営において資金調達手段の選択は、経営を安定させる上で非常に有効です。現在、多様化する金融サービスの中でもファクタリングとリースは注目度が高く、利用を検討している経営者からの問い合わせが増えてきています。
そこで今回は、どちらのサービスの利用が自社に適しているのかを判断するポイントについて紹介していきます。
ファクタリングとリースは全く異なる金融サービスです。一般的な銀行融資とも異なり、独自の特徴や利点があり、経営状況や目的に応じて使い分ける必要があります。資金調達手段として検討する前に、まずは基本的な仕組みと特徴を把握しましょう。
ファクタリングは、売掛金や請求書を買い取って即日現金化できる金融サービスです。
通常2〜3ヶ月後に入金予定の売掛金を早期に資金化できる点が特徴的です。
手数料は買取額の2%から15%程度が一般的で、取引先の信用度や支払期日によって変動します。金融機関からの借入が難しい状況でも、売掛金さえあれば利用できる融資の代替手段として注目されています。
買取型ファクタリングは、売掛債権を完全に譲渡する方式です。手続きは申し込み後、企業審査と債権評価を経て、最短即日での資金化が可能となります。
費用面では取引先の信用力や支払期日に応じた手数料が発生します。支払遅延や未払いのリスクはファクタリング会社が負うため、比較的高めの手数料となっているのが特徴です。
保証型ファクタリングは、債権を担保として資金を調達する方式です。
債権は譲渡せず担保として扱われ、ファクタリング会社に保証料を支払って保証契約を結びます。万が一取引先から売掛金が回収できなかった場合、ファクタリング会社から保証金が支払われる仕組みです。
リースとは、必要な設備や機器を購入せずに利用できるサービスです。
初期投資を抑えながら最新設備の導入も可能で、月々のリース料も経費計上できます。
契約期間は通常3年から7年で、期間満了時には返却か買取りを選択できます。設備投資における資金負担の平準化と節税効果が期待できる点が特徴的です。
ファイナンスリースは契約期間中の解約が原則不可能な方式です。手続きは設備選定から始まり、リース会社による与信審査を経て契約締結となります。
費用はリース料総額に購入価格や金利、保険料などが含まれます。月々定額払いで支払い、期間満了時には残価設定された価格での買取りが一般的です。
リースバックは自社所有の設備をリース会社に売却し、その設備を借りて使用する方式です。手続きは設備評価から始まり、売買契約とリース契約を同時に締結します。
費用面では設備売却による一時金を得られる一方、月々のリース料支払いが必要となります。設備を手放すことなく資金調達できる点が大きな特徴です。
比較項目 | ファクタリング | リース |
---|---|---|
対象 | 売掛債権 | 機械・設備 |
目的 | 資金調達 | 資産の利用 |
契約期間 | 短期~中期 | 中期~長期 |
所有権 | ファクタリング会社に移転 | リース期間中はリース会社に帰属 |
費用 | 手数料 | リース料 |
主な違いは資金調達の対象と方法です。ファクタリングは売掛金を現金化するサービスで、短期的な運転資金確保に適しています。一方リースは、設備投資における資金負担を平準化するサービスで、中長期的な事業発展を見据えた投資に向いています。
どちらを利用すべきかについては、経営状況や目的に応じて選択すべきです。
単なる比較ではなく、現状分析と将来計画を踏まえた判断が必要となります。資金調達手段としてどちらが適切か、具体的な判断基準を見ていきましょう。
ファクタリングは、売掛金の回収期間が長く、慢性的な資金不足に悩む企業に適しています。特に季節変動が大きい業種や、大口取引先への依存度が高い企業での活用が効果的です。
たとえば、建設業では工事代金の支払いサイトが長期化しがちです。月末締め翌々月末払いなど、資金繰りが厳しくなるケースでファクタリング利用による改善が見込めます。
設備投資による生産性向上や事業拡大を計画している企業に適しています。特に技術革新が速い業界での設備投資や、定期的な設備更新が必要な業種での活用が効果的です。
たとえば、IT関連企業ではサーバーやネットワーク機器など、高額設備の導入時にリースを活用します。また、飲食店での活用例として、店舗改装や厨房機器入れ替えにリースを利用するケースが多いです。初期投資を抑えながら店舗の競争力維持が可能となります。
製造業では設備投資にリース、運転資金確保にファクタリングという組み合わせが一般的です。生産設備のリース活用で初期投資を抑えつつ、売掛金のファクタリングで資金繰りを安定させます。
サービス業では顧客との取引形態に応じた選択が重要になります。たとえば、月額課金型ビジネスではリース活用が、請求書払いが中心の業態ではファクタリング活用が有効です。
小売業では季節変動への対応がポイントです。
繁忙期前の仕入資金確保にファクタリング、店舗設備投資にリースを活用する方法が考えられます。
以下では、ファクタリングとリースのメリット・デメリットや選択時の注意点について解説します。
売掛金の早期現金化による資金繰り改善が最大のメリットです。
審査期間が短く、最短即日での資金調達が可能となっています。銀行融資と比べて手続きが簡素化されており、急な資金需要への対応力が高いと言えます。
手数料が比較的高額となる点がデメリットです。特に大口取引や長期の支払サイトでは、総額で見ると相当なコストとなる可能性があります。また、取引先への通知が必要となるケースもあり、取引関係への影響を考慮しなければなりません。
メリット | デメリット |
---|---|
資金調達のスピードが速い 資金使途が自由 事務処理の効率化 | 手数料が発生する 売掛債権を譲渡するため、回収できないリスクがある 債務者の支払い遅延リスクがある |
初期投資を抑えながら必要な設備を導入できる点が最大のメリットです。リース料は経費として計上でき、節税効果も期待することができます。
また、設備の管理や保守、更新などの手間を軽減できる点もメリットです。特に専門知識が必要な機器類では、リース会社のサポート体制を活用することもできます。
長期契約が基本となるため、事業環境の変化への対応が難しくなる可能性があります。中途解約時には高額な違約金が発生するケースが多いため注意が必要です。
また、リース期間終了後の選択肢が限られ、継続利用や買取りの判断が必要となります。場合によっては予定外の出費が発生する可能性もあります。
メリット | デメリット |
---|---|
初期費用を抑えられる 最新機器の利用が可能 税金上の優遇措置がある場合がある | リース料の支払いが長期化する 所有権はリース会社に帰属する 中途解約が難しい場合がある |
選択する際は、契約内容の細部まで確認が必要です。
特に手数料率や経費計上方法、中途解約条件などは慎重に検討しましょう。過度な負担とならない範囲での利用を心がけることが重要です。
ファクタリングとリースは、目的に応じて使い分けが必要な金融サービスです。ファクタリングは売掛金の早期現金化による運転資金確保、リースは設備投資における初期負担軽減が主な用途となります。
選択にあたっては自社の経営状況や将来計画を踏まえた総合的な判断が重要です。不明点がある場合は税理士や公認会計士への相談をお勧めします。
ファクタリングの 達人編集部
自らの経験に基づいた、ファクタリングや与信管理に関する豊富な実績を持ち、これまでに数百社の取引をサポート。
当メディアでは企業の資金繰りに役立つ情報発信を行うとともに、中小企業向けにファクタリングのアドバイザリーサービスも提供しています。