ファクタリングは分割返済可能?できない?理由と正しい対処法を解説

ファクタリングは分割返済可能?できない?理由と正しい対処法を解説

企業経営において資金繰りの難しさに悩む経営者にとって、「ファクタリングの分割返済」は大きな関心事です。しかし、法的な制約が厳しく、容易には実現できないのが現状です。今回は、経営者の視点に立ちながら、ファクタリング業界の実態について詳しく解説します。

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ファクタリングにおける分割返済は可能?不可能?

ファクタリングにおける分割返済は可能?不可能?

ファクタリングは、企業が保有する売掛金や請求書を買い取る金融サービスです。経営者の中には、資金繰りの都合上、分割での返済を希望する声も少なくありません。

しかし、ファクタリング業界では、分割返済について慎重な対応が求められています。結論から言えば、ファクタリング契約では原則的に分割返済はできません。ただし、条件によっては合法的に対応できる方法も存在します。

ファクタリングの分割返済は原則NG

ファクタリングは、法律上「売買契約」(債権譲渡契約)に該当します。売掛金や請求書を「売却する」取引であるため、返済という概念がそもそも適用されません。

また、債権を買い取った業者に売掛金の「所有権」が完全に移転するため、分割返済という選択肢はなくなるのです。

分割返済NGは法律(貸金業法)の規定が根拠

貸金業法では、返済方法に分割払いが含まれる場合、その契約は「金銭消費貸借契約」(貸し付け)とみなされます。

貸金業を行うには、都道府県知事や財務局の許可が必要です。

ファクタリング業者が分割返済に応じた場合、法律上は貸金業と見なされ、無許可営業として処罰の可能性が生じることでしょう。

もし法律違反が発生すれば、業者側だけでなく、取引する経営者側にも悪影響が及ぶ可能性があるので、取引の安全性を確保する上でも、分割返済には慎重な対応が必要です。

分割返済OKを謳う業者は違法金融(闇金)?

「分割返済OK」を宣伝する業者の多くは違法な金融業者(闇金業者)である可能性が高く、注意が必要です。中には、法定金利(年20%)を超える高金利を課したり、強引な取り立てを行う悪質な業者も存在しています。

こうした業者とは、安易に契約を結ばないことが重要です。過去には、分割返済を認めていた業者が摘発された例もあります。

一時的に資金繰りを改善しようとした結果、違法な取引に関わる危険性は決して小さくありません。

【独自解説】ファクタリングで「合法的な分割返済OK」があるとしたら?

【独自解説】ファクタリングで「合法的な分割返済OK」があるとしたら?

経営状況が厳しいと、一括返済が現実的でないこともあります。経営者にとって分割返済を希望したい気持ちは理解できますが、果たして合法的な方法は存在するのでしょうか。実は、例外的に分割返済に対応してもらえるケースがいくつかあります。

弁護士を入れて和解するパターン

弁護士が業者と交渉することで、合意のもと分割返済が認められる可能性があります

弁護士費用は必要となりますが、専門家のサポートを受けられるだけでなく、法的な裏付けがあるため安心感が得られます。交渉の結果によっては金利負担を軽減できる可能性もあり、経営者にとって有利な選択肢となるでしょう。

ただし、弁護士を選ぶ際は慎重に進め、ファクタリングに精通した専門家を選ぶことが大切です。

貸金業許可を持つ業者とファクタリング契約後に「付け替え」を行うパターン

貸金業の登録を受けている業者と改めて契約を結び直すことで、分割返済が可能になる場合があります。手数料や金利が上乗せされますが、合法的に分割返済できる点が大きな利点です。

ただし、賃金業者の審査を通過する必要があるため、利用できるかは事業の収益性や返済能力次第です。

経営状態が比較的安定している企業には、現実的な選択肢といえます。しかし、貸金業者の選定には慎重さが求められ、信頼できる業者を見極める力も必要です。

事情を話して別の金融機関・知人から借金してファクタリング弁済を片付けるパターン

新たに金融機関から融資を受けてファクタリング債務を返済する方法です。長期間での分割返済が可能になるため、経営の負担を軽減できる可能性があります。

金融機関からの借入であれば、事業性評価に基づいた融資判断が行われ、経営状態が良ければ低金利での融資が期待でき、資金繰り改善の有効な手段となり得ます。

ただし、既に他の借入がある場合には、追加融資が難しいこともあり、金融機関との関係を考慮して、現実的な対応を検討することが重要です。

ファクタリングで分割返済が必要な場合の動き方

ファクタリングで分割返済が必要な場合の動き方

経営状況が厳しくなり分割返済を検討する場合は、冷静な判断と適切な対応が不可欠です。ここでは、経営者が取るべき具体的な行動について、実務経験者の意見を交えながら説明します。

金融機関に相談する

主な取引銀行など、既に関係を築いている金融機関に相談することは有効な手段です。

事業内容をよく理解している金融機関であれば、経営改善に向けた提案や資金調達に関する指針を期待できます。

友人知人に相談する

信頼できる経営者仲間や知人に相談することで、実践的な知識を学ぶ貴重な機会にもなります。ただし、事業に関する重要な情報を共有することになるため、慎重な判断が必要です。

別のファクタリング会社に新規の請求書を買取依頼する

新たな請求書が発生している場合には、別のファクタリング業者に買取を依頼する方法もあります。

審査基準が比較的緩やかな業者を選ぶことで、資金調達の可能性が広がり、一時的に資金繰りを改善することが期待できます。

ただし、手数料が高めに設定されることが多いため、費用面の検討が欠かせません。業者を選ぶ際は、実績のある信頼できる業者を慎重に選ぶことが重要です。

ファクタリングの支払いができない場合の対処法

ファクタリングの支払いができない場合の対処法

支払い期日が迫り、返済が困難な状況に陥った場合には、適切な対応が欠かせません。経営者が取るべき具体的な行動について、実務経験者の意見も踏まえながら解説します。

ファクタリング業者に連絡する

支払いが厳しいと予想される場合には、できるだけ早めに業者に連絡することが大切です。誠意を持って現在の状況と今後の返済計画を伝えましょう。

業者側の理解が得られ、支払い条件の見直しなど柔軟に対応してくれる場合があります。

業者との信頼関係を築くことで、より良い解決策が見つかる可能性が高まるでしょう。

踏み倒しはNG

支払いを放置する行為は、民事上の債務不履行にとどまらず、刑事告訴の対象となる場合もあります。

経営者の信用が失墜し、取引先への影響も避けられない事態となる可能性があります。たとえ支払いが難しい状況であっても、誠実に対応することが経営者としての責任です。

過去には支払いの放置が刑事事件に発展した事例もあります。こうした困難を乗り越えるためにも、誠実な姿勢で対応することが求められます。

まとめ

ファクタリングは、法律上の制約から原則として分割返済は認められていません。しかし、弁護士を介した和解や、貸金業者との契約変更など、合法的に対応できる方法もあります。返済が難しい場合には、早めに相談し、適切な対応を取ることが大切です。専門家のサポートを得ることも有効であり、経営者としての判断力が問われる場面といえます。

資金繰りの改善策としてファクタリングを利用する際には、返済計画をよく考慮し、無理のない資金計画を立てることが必要です。冷静な判断を持ち、最適な手段を選ぶことが経営の安定につながります。

この記事を書いた人

ファクタリングの 達人編集部のアバター

ファクタリングの 達人編集部

自らの経験に基づいた、ファクタリングや与信管理に関する豊富な実績を持ち、これまでに数百社の取引をサポート。
当メディアでは企業の資金繰りに役立つ情報発信を行うとともに、中小企業向けにファクタリングのアドバイザリーサービスも提供しています。

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