ファクタリングで嘘はばれる? リスクやばれる可能性を解説

急な経営資金が必要な場面で役立つファクタリングですが、売掛金を早期に現金化できる反面、虚偽の請求書を提出する詐欺的行為が社会問題となっています。

虚偽の請求書を提出する行為は刑事罰の対象になりかねず、経営者個人の信用だけでなく人生そのものを大きく左右する結果を招きかねません。そこで本記事では、虚偽請求書のリスクと発覚の可能性、適切なファクタリングの利用方法について解説します。

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ファクタリングにおける虚偽請求書提出のリスク

ファクタリングにおける虚偽請求書提出のリスク

経営者がファクタリングを検討する際に、虚偽請求書を提出するという誘惑に駆られてしまったことはありませんか?

虚偽請求書が通れば、一時的に大きな資金を手元に残すことも可能となります。しかし、虚偽請求書を提出することは、経営者としての信用を根底から覆す重大な違法行為です。ファクタリング会社の多くは虚偽請求書の見抜き方に長けており、近年では審査体制の強化により、発覚件数も増加傾向にあるため、絶対にしてはなりません。

虚偽請求書とは何か

虚偽請求書は実態のない取引や水増しした金額を記載した請求書を指します。具体的には存在しない工事の請求書作成や、100万円の取引を500万円と偽るような行為です。

経営難とはいえ、一時的な資金繰りのために虚偽請求書を作成する事例が後を絶ちません。融資が受けられず追い込まれた末の選択という背景が多く見受けられます。

また、直近の傾向として建設業界での発生率が高く、架空工事や水増し工事の請求書による不正が目立ちます。工事原価の150%から200%程度の水増しが典型的なパターンです。

もし、虚偽請求書が発覚すれば信用回復は極めて困難です。取引先やファクタリング会社からの信用は失墜し、最悪のケースでは事業継続自体が危ぶまれる事態に発展するでしょう。

発覚するケースと確率

ファクタリング会社の多くは長年の経験から、厳密な審査体制を構築しています。場合によっては、売掛先への直接確認や取引履歴を照合し、不自然な取引は高確率で発覚してしまうため、安易に虚偽請求書を作成すべきではありません。

また、業界データによると、虚偽請求書の発覚率は年々上昇傾向にあり、特に1000万円以上の大口案件では80%以上の確率で不正が発覚するとも言われています。

なお、発覚の契機として最も多いのが、売掛先企業からの通報です。過去には、架空工事の請求書で数千万円を調達しようとした建設会社社長が逮捕された事例や、水増し請求が発覚し倒産に追い込まれた運送会社の事例も報告されています。

その他にも、内部告発を理由とした発覚事例も増加傾向にあり、経理担当者や元従業員からの情報提供がきっかけとなるケースも少なくありません。

法的な処罰について

虚偽請求書提出は、「詐欺罪」や「私文書偽造罪」に問われるケースが多くなっています。

詐欺罪は「10年以下の懲役」、私文書偽造罪は有印のケースで「3ヶ月以上5年以下の懲役」、無印のケースで「1年以上の懲役または10万円以下の罰金」となります。

その他にも民事上の損害賠償請求をされるケースも多く、最悪のケースでは個人資産の差し押さえにまで発展するケースも考えられます。さらには、信用が著しく低下したことを理由に、金融機関などからの融資を受けられなくなり、事業継続も困難になるでしょう。

ファクタリング会社の審査と虚偽請求書の検出方法

ファクタリング会社の審査と虚偽請求書の検出方法

ファクタリング業界では、審査担当者による確認に加え、データ分析や取引先への直接確認など、多角的な審査を実施しています。近年は、AI技術を導入している企業も増え、不正検知の精度が飛躍的に向上してきています。

ファクタリング会社の審査方法

ファクタリング会社にとって、売掛先企業の信用調査は審査の要です。企業情報データベースによる財務状況確認や、実地調査による事業実態把握などを徹底して行います。

また、業界特有の取引慣行や相場観も重要な判断材料です。建設業界なら工事単価、運送業界なら運賃単価など、業界標準から大きく逸脱した金額はマイナス要素になります。

その他にも、取引履歴の確認としては、過去の取引パターンとの整合性を分析します。突然の大口取引や、通常とは異なる取引内容はネガティブ要因となり得るでしょう。

虚偽を見抜く仕組み

ファクタリング会社にとって、売掛先企業への直接確認は最も確実な検証手段です。取引の事実関係や金額を電話やメールで確認し、請求書の真偽を判断します。

また、近年は電子請求書の普及により、デジタルデータの整合性チェックも強化されています。請求書番号の連番管理や、電子署名による改ざん防止も一般化しているのが現状です。

さらに、請求書の内容精査として、印影や署名、記載内容の一貫性などを細部にわたり確認することもあるでしょう。デジタルフォレンジック技術を活用する会社も増えており、電子データの改ざんも高精度で検出されることになります。

よくある不正パターン

虚偽請求書を作成する際の典型的なケースとしては、実在しない工事や納品の請求書を作成することが挙げられます。関連会社を装った取引や、廃業した取引先名義を悪用するケースも多く見受けられます。

また、水増し請求をする際は、実際の取引金額を数倍に膨らませるパターンが多発しています。中には、複数の請求書を組み合わせた巧妙な手口も確認されており、特に建設業界での発生率が高くなっています。

不正する際は、過去の工事写真の流用、実在する取引先との架空取引の組み合わせるなどの悪質な手口もある中、審査技術の向上により、発覚リスクは確実に高まっています。虚偽請求の誘惑に負けて、不正をしないようにしましょう。

正しいファクタリング利用のための注意点

正しいファクタリング利用のための注意点

正しいファクタリング利用のためには、正直な情報提供と適切な会社選定が基本です。信頼関係に基づく取引こそが、持続可能な資金調達のきっかけとなってくれるでしょう。

正確な情報提供の重要性

ファクタリング会社と契約する際は、実際の取引に基づく請求書提出が大原則です。取引の実態を正確に反映した金額を記載した上で審査を通過し、資金調達をしてください。

たとえ経営状況が厳しかったとしても、正確な情報開示をしましょう。

ファクタリング会社との信頼を構築することができれば長期的な取引関係へと繋がりますし、その結果、資金調達を安定させることができれば、経営状況の改善にもつながるでしょう。

また、売掛先との良好な関係維持も重要です。ファクタリング利用は売掛先への配慮も必要となるため、可能な範囲で事前相談や情報共有をするのが望ましい対応となります。

信頼できる会社の選び方

信頼できるファクタリング会社の選び方としては、貸金業許可の登録の確認が重要です。登録番号の有無を確認し、業務実態を慎重に確認してから契約へと臨みましょう。(償還請求権付きのファクタリングを行う場合のみ)

また、実績確認としては、業界での評判や取引実績を総合的に判断するのがよいでしょう。経営者仲間からの紹介や、業界団体加盟の有無なども選定基準となります。

契約時には、手数料の透明性も重要な判断材料になります。明確な手数料額の提示と、追加費用の有無を契約前の段階で確認するようにしてください。

専門家活用のメリット

ファクタリング利用において、不安や疑問があるのであれば、税理士への相談が有効です。ファクタリング利用による経理処理や税務への影響をアドバイスしてもらいましょう。

また、正確な資金繰り表の作成支援も税理士がサポートしてくれます。計画的な資金調達の実現に向け、専門家からの実践的なアドバイスをもらってください。

なお、トラブルへと発展しそうなケースでは、弁護士への相談が有効です。弁護士であれば、契約書の内容精査や法的トラブルの解決をサポートしてくれるでしょう。

まとめ

虚偽請求書の作成・使用は違法行為であり、発覚時は経営者個人の人生を左右しかねません。ファクタリング会社の審査体制は年々厳格化し、不正発覚のリスクは確実に高まっていることからも、間違っても虚偽請求書を作成しないようにしてください。

現在、経営危機に直面しているのだとしても、専門家への相談や正規のファクタリング利用を選択することが、事業継続のために重要であることを忘れてはなりません。

この記事を書いた人

ファクタリングの 達人編集部のアバター

ファクタリングの 達人編集部

自らの経験に基づいた、ファクタリングや与信管理に関する豊富な実績を持ち、これまでに数百社の取引をサポート。
当メディアでは企業の資金繰りに役立つ情報発信を行うとともに、中小企業向けにファクタリングのアドバイザリーサービスも提供しています。

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