現在掲載中の企業64件
ファクタリングは資金調達の方法として有効ですが、中には資金繰りに困った経営者を狙う「審査なし」「即日融資」などを謳う危険なファクタリング業者が増加中です。
一見すると魅力的な広告文句に見えますが、実態は高額な手数料や強引な取り立てなど、深刻な被害に遭うリスクが潜んでいるのです。そこで本記事では、正規業者と危険な業者の見分け方、トラブルに遭った際の具体的な対処法まで徹底解説していきます。
昨今、ファクタリング業界で「審査なし」を強調する広告が目立ってきました。
実務経験から言えば、通常は完全な審査なしでファクタリングを実行する業者は存在しません。金融取引である以上、最低限の信用調査や本人確認は必須だからです。仮に審査を一切省略するような業者がいれば、違法性が極めて高いと考えられます。
「審査なし」を謳う業者は通常、書類確認や企業調査を大幅に簡略化しています。中には本人確認書類と売掛先情報だけで契約を進める業者も存在するため注意が必要です。
正規のファクタリング会社では取引先の信用調査や売掛債権の実在確認など、複数の審査ステップを経て契約を締結します。審査期間も平均で3〜5営業日程度は必要です。
即日現金化を強調する業者は、実質的な与信審査などを省略し、高額な手数料設定で損失をカバーしようとする傾向が強いため、取引には大きなリスクが伴います。
ファクタリング会社が審査を実施する最大の理由は、 債権の未回収リスクを回避するためです。売掛債権は支払期日までの間、様々な回収不能リスクに晒されるため、回収をより確実に行うためにも、ファクタリング会社は審査を行っているのです。
また、あらかじめ審査することによって、 反社会的勢力との取引を防止する目的もあります。一部のファクタリング会社では、反社会的勢力排除の宣言をし、契約書には反社会勢力でないことを確約する旨を含めるなどの対策を行っています。
その他にも、コンプライアンス遵守も審査実施の大きな理由の1つです。違法な取引を未然に防ぎ、健全な金融取引を維持するためにも、審査を行うのが当たり前と言っても過言ではないのです。
審査なしのファクタリング会社との取引では、法的保護を受けられない可能性が高く、トラブル発生時の解決が極めて困難になります。
また、手数料は業界平均の3〜5倍という事例も報告されています。年率換算で数百パーセントに達するケースも珍しくありません。
契約不履行時の取り立てにおいては、執拗な電話や事務所への突然の訪問など、悪質なものが目立ちます。経営者の自宅や取引先にまで取り立てが及ぶケースも発生しています。
さらに、売掛先からの入金が滞った場合、利用企業に全額を返済しなければならない義務が生じるだけでなく、高額な遅延損害金が上乗せされるケースも多発しているため注意が必要です。
最悪のケースでは、契約時の個人情報が名簿業者への転売や他の金融商品勧誘に悪用されるリスクがあります。一度情報が流出すると、様々な業者からの勧誘に悩まされる事態に発展するため、審査なしのファクタリング会社との取引はおすすめできません。
正規のファクタリング会社では複数の審査項目に基づく総合的な与信判断を行います。審査基準は業界ごとの商習慣や経済環境に応じて柔軟に設定されているため、あらかじめ審査項目を把握することで、契約成立の可能性を高めることができるでしょう。
売掛先企業の信用力調査では帝国データバンクや東京商工リサーチなどの企業信用調査会社のデータを活用します。
資本金、業歴、年商規模に加え、決算内容や支払い履歴なども重要な判断材料です。
また、業界特性や企業規模によっても審査基準は異なります。公共工事関連では発注者の信用力重視、小売業では消費者動向や季節要因なども考慮されます。
過去の取引実績では、支払い遅延や紛争の有無が重点的にチェックされるケースもありました。長期の取引関係がある企業との売掛債権は、審査が通りやすい傾向にあります。
決算書類では売上高、営業利益、純資産などの基本的な財務指標を確認します。赤字決算が続いていても、事業の継続性が認められれば契約可能なケースもあるでしょう。
また、個人事業主の場合は確定申告書、法人は登記簿謄本や決算報告書が必須です。創業間もない企業でも直近の売上状況が良好であれば、柔軟な審査対応が期待できるでしょう。
なお、取引履歴としては、銀行取引明細や請求書・領収書にて確認します。売掛金の回収状況や支払い実績は、事業の健全性を判断するための材料です。
請求書や契約書では日付、金額、支払条件などの基本項目の確認がされます。内容に不備や矛盾がある場合は、追加書類の提出を求められることもあるため注意が必要です。
また、取引内容は商流や市場価格との整合性をチェックします。不自然に高額な取引や架空取引の疑いがある場合は契約不可となってしまうでしょう。
次に、支払条件は業界の標準的な取引条件との比較で判断します。極端に長期の支払サイトや特殊な条件付きの取引は、審査が厳格化する傾向があるため注意しましょう。
必要書類が少ない業者は審査のハードルが低く設定されています。オンライン審査を採用し、書類のアップロードだけで手続きが完結する会社も増えてきました。
また、売掛先情報と本人確認書類だけで契約可能な業者も増えています。対面での面談や実地調査が不要なため、スピーディーな審査が期待できるのが魅力ですが、上述したとおり、悪質なファクタリング会社である可能性が高いため注意しなければなりません。
審査なしのファクタリング会社を利用し、被害に遭った場合は冷静かつ迅速な対応が重要です。業者とのやり取りの記録や書類を整理し、専門家への相談を検討しましょう。
契約書や請求書などの書面は必ずコピーを保管します。業者とのメールや電話での応対内容については、日時と担当者名を記録に残しておきましょう。
また、可能であれば取引状況は時系列で整理しておくのが重要です。入金や支払いの記録、業者からの連絡内容など、できるだけ詳細な情報を時系列で記録します。
さらに、被害状況は金額的な損失に加え、精神的な被害や業務への影響度も含めて整理しましょう。こうした記録は、後々の損害賠償請求の根拠資料として活用できます。
弁護士への相談は各地の弁護士会が運営する法律相談センターが便利です。初回相談料は30分5,000円程度が一般的となっています。
税務や登記関連の相談は、税理士や司法書士のアドバイスが有効です。費用対効果を考慮し、相談内容に応じた専門家を選択しましょう。
警察への相談は、詐欺や脅迫などの犯罪性が高い場合に検討します。被害届の受理には一定の証拠が必要となるため、相応の準備がなければ無駄骨になるおそれがあるでしょう。
また、民事訴訟を検討しているのであれば、損害賠償請求や契約無効確認などが代表的です。少額訴訟制度を利用すれば、比較的低コストでの解決も見込めるでしょう。
その他にも、多数の被害者が報告されているケースでは、被害者の会への参加は情報共有や集団訴訟の可能性を探る手段として有効です。弁護士を通すなどして、同様の被害者と連携を図り、最終的に集団訴訟などによる解決を図ることもできるでしょう。
ファクタリングにおいて、「審査なし」を強調する業者には細心の注意が必要です。正規業者であれば審査を経ることで、企業の実態に即した柔軟な与信判断を行うのが通常です。
被害を防止するためにも、事前の業者確認と契約内容の精査が欠かせません。万が一トラブルに巻き込まれた場合は、法律の専門家に相談し、適切な対応を検討してください。金融庁や弁護士会の相談窓口も積極的に活用することをお勧めします。
ファクタリングの 達人編集部
自らの経験に基づいた、ファクタリングや与信管理に関する豊富な実績を持ち、これまでに数百社の取引をサポート。
当メディアでは企業の資金繰りに役立つ情報発信を行うとともに、中小企業向けにファクタリングのアドバイザリーサービスも提供しています。