法人がファクタリングを利用するメリット、デメリットとは?

法人がファクタリングを利用するメリット、デメリットとは?

短期の資金需要に対応するため、ファクタリングが注目され始めています。ファクタリングは売掛債権を現金化するサービスです。法人経営者の視点から、ファクタリング利用のメリットやデメリットを詳しくみていきましょう。

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法人がファクタリングを利用するメリット

法人がファクタリングを利用するメリット

法人経営者として、資金調達方法の選択はかなり悩むところでしょう。ファクタリングにはいくつかの利点が存在しますので、具体的に解説します。

即日で資金を調達できる

資金繰りに困った時、すぐに現金が必要になるケースは多いでしょう。ファクタリングなら通常1~3営業日程度で資金化が可能です。銀行融資と比較すると、審査から融資実行までの期間が圧倒的に短いのが特徴です。

急な仕入れや人件費の支払いなど、緊急の資金需要に対応できるメリットは大きいといえるのではないでしょうか。特に中小企業や個人事業主にとって、この即時性は非常に魅力的です。

赤字の状態でも利用できる

銀行融資では赤字企業への貸し出しは難しいケースが多いですが、ファクタリングは売掛債権さえあれば利用可能。財務状況に関わらず資金調達ができる点は、経営者にとって心強いポイントです。

新規事業立ち上げ時や業績回復期の企業にとって、一時的な資金不足を乗り越えるための有効な手段といえるでしょう。

未回収のリスクの回避

売掛金の回収遅れや貸し倒れは、中小企業の資金繰りを直撃します。しかしファクタリングを利用すれば、債権の買取により、こうしたリスクを軽減できます。

キャッシュフローの安定化に貢献し、経営の安定性向上につながる上、特に取引先の支払いサイトが長い業界では、有効な選択肢となるでしょう。

売掛先に知られず、資金調達できる

ファクタリングの利用は、基本的に売掛先に知られることなく行えます。取引先との関係性を維持しながら資金調達が可能な点は、大きなメリットといえるでしょう。

経営状況を取引先に悟られたくない場合や、長年の取引関係を大切にしたい場合に有効です。ビジネスの継続性を保ちながら、資金調達を行えるのです。

法人がファクタリングを利用するデメリット

法人がファクタリングを利用するデメリット

ファクタリングには多くのメリットがある一方で、注意すべき点もあります。デメリットを理解した上で利用を検討しましょう。

手数料が比較的高い

ファクタリングの最大のデメリットは、手数料の高さです。通常の銀行融資と比較すると、コストが高くなる傾向があります。

手数料は一般的に債権額の1~30%程度です。利用頻度や金額によっては経営を圧迫する可能性もあるため、慎重な判断が求められます。短期的な資金需要に対しては有効ですが、長期的な利用は避けるべきでしょう。

売掛先が一般消費者や個人事業主の場合は審査に通らない

ファクタリング会社は、売掛先の信用度を重視します。そのため、一般消費者や個人事業主が売掛先の場合、審査に通りにくい傾向があるといわざるを得ません。

また、売掛先が上場企業や大手企業でない場合も、利用が難しくなる可能性があります。取引先の信用度が低いと判断された場合、審査が通らないケースもあるでしょう。

長期的な資金用途には向いていない

ファクタリングは短期の資金需要に適したサービスです。設備投資など、長期的な資金用途には向いていません。

継続的な利用は財務状況を悪化させる可能性があります。一時的な資金繰りの改善には有効ですが、恒常的な資金不足の解決策としてはおすすめできません。

ファクタリングを利用する際の注意点

ファクタリングを利用する際の注意点

ファクタリングを有効活用するためには、いくつかの注意点があります。以下の点に注意しながら、利用を検討しましょう。

信頼性の高いファクタリング業者を選ぶ

ファクタリング業界には、さまざまな業者が存在しますので、信頼性の高い業者を選ぶことが重要です。業歴や口コミ、評判を参考にしましょう

実績のある大手業者を選ぶことで、トラブルのリスクを軽減できます。また、複数の業者を比較検討することで、より良い条件を見つけられる可能性があるでしょう。

買取上限額を確認する

ファクタリング業者によって、買取可能な債権額の上限が異なります。自社の資金需要に見合った上限額を提供している業者を選びましょう

必要な資金を確保できない可能性もあるため、事前に確認が必要です。

複数の業者を利用することで、必要額を確保する方法もあります。

入金までにどれくらいかかるか確認する

即日入金が可能か、または何日程度かかるか確認しましょう。緊急の資金需要に対応できるか、事前に把握しておくのが大切です。

業者によって入金までの日数が異なるため、自社の資金需要のタイミングに合わせて選択するのが重要です。急ぎの場合は、即日入金可能な業者を選ぶのが良いでしょう。

手数料や費用が正確か確認する

手数料の計算方法を詳細に確認しましょう。また、追加で請求される費用がないか、事前に確認するのが大切です。

手数料は業者によって異なります。複数の業者を比較し、最も有利な条件を提示する業者を選ぶことをおすすめします。隠れた費用がないか、契約書をよく確認することも重要です。

償還請求権がないファクタリング業者を選ぶ

ノンリコースファクタリングを提供している業者を選ぶことをおすすめします。売掛先が支払不能になった場合のリスクを軽減できます。

償還請求権がある場合、売掛先の倒産リスクを完全に回避することはできません。経営の安定性を考慮すると、償還請求権のない契約「ノンリコース型」を選ぶのがおすすめです。

法人がファクタリングを利用する際に審査される項目

法人がファクタリングを利用する際に審査される項目

ファクタリングを利用する場合には、いくつかの審査項目があります。主な審査項目を理解しておくことで、スムーズな利用につながりますので、詳しくご紹介します。

法人の設立日

設立後の経過年数が審査に影響します。一般的に、設立後の経過年数が長いほど、審査が通りやすい傾向にあるといえるでしょう。

新設法人の場合、審査基準が厳しくなるかもしれません。業者によっては新設法人向けの特別プランを用意しているケースもありますので、確認をおすすめします。

売掛先の信用度

売掛先の企業規模や業績が重要な審査項目になります。上場企業や大手企業が売掛先の場合、審査が通りやすくなるでしょう。

逆に中小企業や個人事業主が売掛先の場合、審査が厳しくなるかもしれません。

売掛先の支払い能力が重視されるため、取引先の選定も重要になってきます。

自社の信用度

財務状況や業績の推移が考慮されます。赤字でも利用可能ですが、極端に業績が悪い場合は審査が厳しくなる可能性が否めません。

税金の滞納がないか、過去の借り入れ返済状況なども確認されます。経営状況が健全であることを示す資料を用意しておくと良いでしょう。

売掛債権の支払い期日

支払期日が近いほど審査が通りやすくなります。一般的に、支払期日が3ヶ月以内の債権が対象となる場合が多いです。

長期の債権は支払期日が遠い債権であるため、リスクが高いと判断され審査が厳しくなる可能性があります。

法人におすすめのファクタリング業者

法人におすすめのファクタリング業者

銀行系のファクタリング業者について表をまとめました。

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業者名特徴審査スピード入金スピード手数料契約方法申し込み資格利用限度額
SHIKIN+(資金プラス)・AIによる事前審査を導入・東証プライム上場のfintechベンチャー企業マネーフォワードとメガバンクである三菱UFJ銀行が合弁で設立した Biz Forward が運営
・手数料は0.5%~
最短即日最短即日0.5%~2社間法人数万円~数億円
みずほファクター・保証ファクタリングや国際ファクタリングにも対応・国内の買取ファクタリングでは、3社間のみ
・建設業向けに、下請債権保全支援事業というサービスも提供
非公開非公開非公開非公開非公開200万円〜
三井住友カード(旧SMBCファイナンスサービス)・保証ファクタリングと国際ファクタリングを提供・通常のファクタリングは、手形買取のみ実施
・保証ファクタリングでは、取引先の審査にかかる業務負担の軽減が可能
非公開非公開非公開非公開非公開非公開
りそな決済サービス・一括ファクタリングや保証ファクタリング、国際ファクタリングを扱う・情報を会社の与信管理に活用可能
・医療系ファクタリングも提供
非公開非公開非公開非公開非公開非公開
浜銀ファイナンス・一括ファクタリングも扱う・一括ファクタリングでは、手形の発行・交付および期日における各手形の決済確認など管理事務が不要
・一括ファクタリングでは、印紙税も不要
非公開非公開1.0〜8.0%3社間非公開非公開
三菱UFJファクター・売上債権の保証や与信管理をサポート・国土交通省創設の制度を利用して、工事請負代金等を保証
・海外取引の安心をサポート
非公開非公開非公開3社間法人100〜1,000万円
足利銀行・一括ファクタリングのみ扱う・手形に関する管理事務が不要
・印紙税も不要
非公開非公開非公開3社間法人非公開
百十四銀行・一括ファクタリングを扱う・手形の発行・交付および期日における各手形の決済確認など管理事務が不要
・印紙税も不要
非公開非公開非公開3社間法人非公開

上記の表の通り、銀行系のファクタリング業者は、信頼性と安定性が高いという特徴があります。

しかし、多くの情報が非公開であることが目立ちます。各企業の状況や取引内容によって条件が大きく異なる可能性があるためです。

なおSHIKIN+(資金プラス)は他社と比べて情報開示が進んでおり、AIを活用した迅速な審査や競争力のある手数料を提供しています。一方で、他の銀行系ファクタリング会社は保証ファクタリングや国際ファクタリングなど、より専門的なサービスに注力している傾向が見られます。

条件・申込資格等は状況によって変動することがありますので、利用を検討する際は、各社に直接問い合わせて詳細な条件を確認することが重要です。

まとめ

ファクタリングは法人経営者にとって、有効な資金調達手段の一つです。即日での資金調達や赤字状態でも利用できるメリットがあります。一方で、高額な手数料や長期利用には向かないといったデメリットも存在します。

利用する場合は信頼性の高い業者選びが重要です。審査項目を把握し、事前に必要な準備を整えることで、スムーズな利用につながります。

ファクタリングは短期の資金調達には有効ですが、経営改善の根本的な解決策にはなりません。経営状況の改善と並行して利用することで、より効果的な資金調達が可能になるでしょう。

この記事を書いた人

ファクタリングの 達人編集部のアバター

ファクタリングの 達人編集部

自らの経験に基づいた、ファクタリングや与信管理に関する豊富な実績を持ち、これまでに数百社の取引をサポート。
当メディアでは企業の資金繰りに役立つ情報発信を行うとともに、中小企業向けにファクタリングのアドバイザリーサービスも提供しています。

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