初めてのファクタリング利用:初取引で押さえておきたい注意点と流れ

初めてのファクタリング利用:初取引で押さえておきたい注意点と流れ

中小企業経営において資金繰りは永遠の課題です。売掛金(売掛債権)を現金化できるファクタリングは有効な選択肢といえます。ただ、初めて利用する際は慎重な判断が求められ、事前準備も必要不可欠です。

本記事では、経営者の視点から、初回利用時のポイントと具体的な対処法を解説します。資金調達がスムーズに進み、事業継続の力となるでしょう。

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初めてのファクタリング利用で注意すべきポイント

初めてのファクタリング利用で注意すべきポイント

ファクタリングの初回利用時は、経験がないため戸惑うことが多いのではないでしょうか。しかし、焦らず事前準備を万全にすることで不安を軽減できるはずです。

そもそも資金調達は、経営者にとって常に重要な経営判断を求められる場面です。判断を誤らないためにも、以下のような具体的な準備事項について確認していきましょう。

提出書類が多い可能性がある

初回取引では、信用調査のため多くの書類提出を求められることが多いです。

決算書は最低で直近2期分が基本なので、会計事務所に依頼して準備すると良いでしょう。

請求書は、売掛先へ発行したものを用意します。請求日・金額・支払期日など、記載内容に誤りがないか、入念な確認が必要です。特に支払期日が不明であれば、売掛先の経理担当者に確認を取ることをお勧めします。

預金通帳は、表紙と取引履歴のページをコピーします。取引状況や入出金履歴から事業の健全性を判断するための材料です。売掛先と継続的に取引を行っていることを証明するため、直近3~6ヶ月分が必要になることが多いでしょう。

代表者の本人確認書類は運転免許証が一般的です。有効期限切れに注意し、住所変更があった場合は裏面のコピーも忘れずに準備しましょう。他にはパスポート、マイナンバーカードなども有効です。

法人登記簿謄本も準備します。発行から3ヶ月以内のものを求められるケースが多いため、タイミングを見計らって取得しましょう。

実務的な書類準備のコツとしては、スキャナーやコピー機の用意も重要です。昨今はPDFデータでの提出を求められることも増えています。なお、画質劣化の観点からも、スマートフォンでの撮影は避けたほうが無難でしょう。

審査に時間がかかる場合がある

初回取引では、事業内容のヒアリングとして、業歴や主要取引先、月商、資金使途などを確認されます。

その際、事業計画や資金繰り表があれば説得力が増すので用意しておくとよいでしょう。特に資金使途は具体的に説明できるような準備が必要です。

基本的に、審査期間は早ければ即日、長いと1週間程度かかる場合もあります。資金繰りの必要が出たら入金までの期間を考慮し、早めに申し込むのがおすすめです。

なお、ヒアリング時に意識するポイントとしては、事業の将来性や成長性を具体的に説明することです。業界特有の商習慣やビジネスモデルについても、分かりやすい説明を心がけてください。また、経営課題への取り組み姿勢も重要な審査項目です。資金繰りを改善する具体的な施策があれば、積極的に説明することをおすすめします。

手数料が高く、申請可能金額に制限がある

初回取引は取引実績がなく信用度が低いため、手数料も相場より高くなるのが一般的です。

取引内容にもよりますが、通常は2~20%を超える手数料が発生します。高めに感じるかもしれませんが、融資と違い審査が通りやすい利点があります。

具体的な計算例を示すと、請求書の額面が100万円の場合、10%であれば手数料は10万円となり、手数料を差し引いた90万円を受け取れる計算です。

申請可能金額は売掛先の与信枠で決まります。初回は慎重に審査がなされるため手数料も高くなり、請求書の額面の70%程度に抑えられるケースもあります。

手数料の交渉余地は限定的ですが、支払期日が短い債権や優良企業向け債権なら、条件面で優遇される可能性もあります。

継続的な取引で実績を積めば徐々に枠は拡大しますので、長期的な取引を視野に入れ、慎重な判断の元に申請を行いましょう。

初回取引をスムーズに進めるためのポイント

初回取引をスムーズに進めるためのポイント

長年の取引実績がある優良企業の売掛債権であれば、スムーズな審査が期待できます。書類準備から契約締結まで段取りよく進めることで、効率的な資金調達が可能です。

以下では、経営者として押さえるべきポイントについて詳しく見ていきましょう。

信頼性の高い売掛債権を選ぶ

東証プライム市場上場企業など、知名度の高い売掛先との取引債権なら高い割合で買取対象となります。上場企業は財務情報が公開されているため、信用度の判断が容易です。

また、取引開始から1年以上経過している売掛先を選ぶと審査は通りやすくなるでしょう。支払い遅延がない取引先であれば、なお良いです。

さらに、大企業との取引は支払能力が高く評価され、有利な条件を引き出せる可能性が高まります。ただし支払期日が長いケースも多く、その点は考慮が必要です。

売掛先の業績や信用情報は、帝国データバンクや東京商工リサーチなどの企業情報データベースで確認できます。

事前に調べておくと、審査の見通しが立てやすくなるでしょう。

提出書類を準備し、手続きの流れを把握する

申込書類は原則として原本での提出が求められます。

よくある不備として、捺印漏れや記入事項の記載ミスが挙げられます。書類に不備があると審査開始が遅れる原因となるので注意しましょう。

ファクタリング利用契約の流れは、概ね以下のとおりとなります。

  1. 事前相談、見積依頼
  2. 申し込み
  3. 必要書類の提出
  4. 審査
  5. 契約締結、入金

なお、要求される書類は業者によっても異なるため、事前に確認するようにしてください。

複数の業者を比較する

手数料や審査基準は業者によって異なります。3社程度を比較検討するのが一般的です。

業者選定では手数料の他、対応の丁寧さや審査のスピードなども重要な判断材料となります。担当者の説明が分かりにくい業者は避けるべきでしょう。

なお、比較検討のためにも見積書は必ず取得し、手数料の計算根拠について確認します。追加費用の有無も事前に確認が必要です。

信頼できるファクタリング会社の選び方

信頼できるファクタリング会社の選び方

実績のある会社であれば安心感があります。経営状態が健全、顧客対応が丁寧など、業界内での評判や信頼性を総合的に判断していきましょう。

実績や信頼性を確認する

買取実績は会社規模の重要な指標です。

年間100億円以上の実績がある業者なら、一定の信頼性があると判断できます。

業界団体への加盟状況も確認しましょう。例えば、「一般社団法人  日本ファクタリング業協会」に加盟している業者であれば、一定の審査基準をクリアしているといえます。

また、企業の経営理念や実績を公表しているかはとても重要です。継続的に取引関係を築ける業者であるかの判断材料としましょう。

口コミや評判を調査する

インターネット上の口コミ情報は、ファクタリング会社選びにおいても重要です。

しかし、極端な評価が書かれることもあるので参考程度に留めましょう。一方、業界関係者や金融機関からの評判は信頼性が高いので、取引のある金融機関に相談するのも一案です。

また、中小企業の支援をしている商工会議所や中小企業団体中央会などに相談するのも良いでしょう。地元の金融機関との取引実績がある業者なら、より安心感があります。

初回取引の対応に関する柔軟性を確認する

初回取引でも柔軟に対応してもらえるかは重要です。電話やメールが迅速で担当者の説明も分かりやすく、さらには経営者目線で提案ができる業者であれば尚良いでしょう。

また、営業時間外の体制も重要なポイントです。

利用を検討する際は、急な資金需要に対応できる体制が整っているかを確認するのがおすすめです。

まとめ

初めてのファクタリング利用は慎重な判断が求められます。提出書類の準備や審査対応など、早め早めの対応を心がけましょう。

取引実績のある優良企業との売掛債権を選び、信頼できる業者と取引することで、円滑な資金調達が可能となります。継続的な取引を視野に入れることで、経営の安定化に繋げていきましょう。

初回取引を成功させることで、将来的な資金調達の選択肢が広がるはずです。

この記事を書いた人

ファクタリングの 達人編集部のアバター

ファクタリングの 達人編集部

自らの経験に基づいた、ファクタリングや与信管理に関する豊富な実績を持ち、これまでに数百社の取引をサポート。
当メディアでは企業の資金繰りに役立つ情報発信を行うとともに、中小企業向けにファクタリングのアドバイザリーサービスも提供しています。

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